京都観光ガイドの現場からヒトコマをお届け。
ほっこりする話や、タメになる話や、どうでもいい話など...
ギョンってどこ?
コロナ禍で激減したものの、やはり京都は日本の他の観光地と比較すると外国人の方が多いですネ。
観光ガイドをしている際には道を尋ねられたりする機会が多いんです。
観光ガイド中は顔写真や所属団体名が記載されたIDカードを下げているので安心感があるのでしょう。
そんな外国人に道を聞かれた際のヒトコマです。
外国人観光客:スミマセン、ギョンハドコデスカ?
私:「ギョン」?
えっ、ギョンですか?
外国人観光客:ハイ、ギョンデス。
私:ギョン...?
(わ、わからない...)
(ど、どないしょ...)
ギョンってどこですか?
(と、ついに立場が逆転してしまう始末)
仕方なくスマホを取り出して、マップで現在地を説明しようとする。
外国人観光客は持参の京都地図を出して「ここだ」と指さす。
私:なーんだぁ、祇園のことか。
「ギ・オ・ン」ですね。
外国人観光客:ハイ、ギョンデス。
分かってしまえば何でもないのですが、こうなるのには深いお国事情があります。
海外の言語では母音を2つ続けて発音することは(ほとんど)ないのです。
文字として母音が続く場合は2重母音といって、1音で発音します。
この「祇園」の場合、「GION」なので、海外の人は真ん中の「IO」を1音の母音で発音しようとするわけです。
そして私の耳には「ギョン」と聞こえるというオチなのでした。
さらに、
フランス語とか「H」を発音しない言語ですから注意が必要です。
皆さんもフランスの高級ブランド「エルメス(Hermès)」を「ヘルメス」とは言いませんよね。
そういう感覚からすると平安京や平安神宮の「平安」って、最悪のスペルです。
「Heian」無音の「H」に続いて3重母音!
他にも外国人が使う、日本人に分かり難い名前が...
金閣寺は「Kinkakuji temple」ではなく「Golden pavilion(ゴールデン・パビリオン)」
同様に 銀閣寺は「Ginkakuji temple」ではなく「Silver pavilion(スゥィルバー・パビリオン)」
竹林は「bamboo forest (バンブー・フォレスト)」
ここで気を付けなければならないのは「Kimono forest(キモノフォレスト)」です。
これ、地名ではなく嵐電嵐山駅構内にある京友禅のポールを竹林のイメージでみたてて設置してあるものです。
日本人よりも、むしろ海外のお客様に有名なんです。
と言いますか、京都市民でもキモノフォレストって何か知らない人が普通にいます、ハイ。
嵐電嵐山駅にニョキニョキ立ってる着物柄のポール...と言えば
「あぁ、あれね。あれ、キモノフォレスト言いはりますの?けったいやなぁ」程度です。
外国人観光客がキモノフォレストが素敵だったと言っていても、着物の林がどこにあるかなんて驚かれませんように...