京都観光ガイドの現場からヒトコマをお届け。
ほっこりする話や、タメになる話や、どうでもいい話など...
大雨で桂川が増水して安心した?という話
京都の嵯峨野の代表的な景観と言えば嵐山の渡月橋ですネ。
数年前の大雨により桂川が氾濫して大きな災害となったことを、覚えていらっしゃる方も多いかと。
嵐山観光のガイドをしている際、渡月橋でのヒトコマです。
私:この渡月橋を境に下流側を桂川、上流を大堰川、さらにその上流を保津川と言うことがあります。
観光客Aさん:言うことがある...って?
「保津川下り」とか「大堰川の舟遊び」とか言いません?
私:河川名称って、その土地その土地で昔から呼ばれている名前ありますよね。
ですから、どんな名前でも自由なんです。
ただ行政で工事するとか何かする際は、名前がまちまちだと不都合ですよね。
なので河川で言えば明治から「河川法」があって、この川は桂川で統一されているんですよ。
観光客Bさん: あぁ、そうなんですか。
私:この川は平安の時代からよく氾濫しています。
平成でも大規模な水害に見舞われ、多くの旅館や売店が被災したんですよ。
観光客Aさん:あぁ、わたしテレビで見た覚えあるわ。
観光客Bさん:普段はこんなに穏やかなのにねぇ。
私:その後、水害対策として渡月橋の上流北側に止水壁が設置されましてね。
止水壁は高さ80cmで、普段は地中に収納し、出水時に出てくるんです。
あそこに見える川岸に低く横に続いている黒っぽいのがそれです。
嵐山の景観に配慮して、違和感が無いように工夫されていますね。
観光客Aさん:あそこから、何か出てくるの?
(頭に「?」マークが浮かんでいる様子がありありと)
本当に出るのかしら。
この対策については、地元の京都人も信じられない人が多くいました。
- ちゃんと働くんかいな
- えろぅ無駄使いなさるもんやなぁ
- そないなもん、役に立ったためしがないわな
- などなど
ところが...
私:それが、2021年7月に大雨が降って、桂川が増水しましてね...
出たんですよ...本当に。
止水壁が。
観光客Bさん:なんか、幽霊みたいですね。
でも、良かったですね。
私:その後、8月のお盆にも大雨による増水で、その時も止水壁が出てきました。
それを見て地元人たちも、本当に出るんだと分かったんです。
大雨で桂川が増水したので、やっと安心できたわけです。
観光客Aさん:なんか小噺みたいですね。
観光客Bさん:それ、本当の話ですか?
私:ハイッ、もちろん本当の話です。